隠り恋ふ

少女漫画や舞台のレポ、SSなど。

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【トーマSS】友を捧ぐ

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※ユーリが旅立った後です。「エーリクがあんたら茶会の仲間に金を無心してるって噂は事実なのか? バッカス」「まったく。この学校でおまえさんの耳に入らない話はない、ってのはほんとうなんだなオスカー」 「ホレ」と差し出された火で、ぼくは自分の煙草に…

【ポーSS】春の骨

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春が来たら、骨になりたい。 いつもよりずっと、甘え縋るような声でそう告げられる。「冗談はおよし、アラン」「冗談ってのは、どちらの意味だい? エドガー」「……どちらの意味、って?」 同胞の問いかけの意図をつかみあぐねて、エドガーはベッド上でうずく…

【はみSS】転ばぬ先のジゴク

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突然やってきた雨雲にうらみつらみをおぼえるヒマもなく、ボクらはあわてて屋根の下へと逃げこんだ。 だれがどう見たって幼いボクらは、放浪の身。この中のだれかひとりでも濡れねずみになって風邪をひいたりでもすりゃ、その後の旅路がめんどうになるっても…

【11人SS】山へ行きたい

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【タダトス×フロルで、本編終了後の設定です。】 次に降り立つ惑星では、山に登りたい。 そんなことばを聴いたぼくは、おもわずクラリと来て、手元の操縦パネルに突っ伏しそうになってしまった。「なんだよタダ! そんなにびっくりすることないじゃんか!」…

【はみSS】カコの中、カコイの中

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家具とねぐら、それから、鳥さんとレディ・ローズ。 それらを失くしたぼくらは、新たな日々を目指して出立した。 そしてぼくらはもうだれも、鳥さんとレディ・ローズの事を口にはしなくなった。ぼくら四人、全員の胸のうちで真新しく共有されながらも、けっ…

【風木SS】荊の輪

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※風木、セルジュとジルベールのifです。※原作の結末のネタバレあり。 花弁たちが輪状に寄り添い、きみの目の上で綻んでいる。それらは根を失いながらも、静かなきみのかんばせを引き立てる為に呼吸をしていた。「きれいだよ、ジルベール。とても似合ってる」…

【トーマSS】光射す隙

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白肌の下に流れる情熱の血を、そのまま映し取ったかのような黒い髪。 それと同様の輝きをたたえるは、我らがシュロッターベッツの制服だ。 豊かな見目のユリスモールが生徒たちの小わきを通り過ぎれば、たちまち熱のこもった視線がひしめき合い、荘厳な聖堂…

【トーマSS】花

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【ユリスモールを見送った後のオスカーとエーリクの小話です】 ただひとつの年を重ねたとて、そこに一切の価値はないと、ル・べべは言った。「きみはまだ14だよ」「だからだよ、オスカー」「まだ14なのだから、これから年を重ねなけりゃ」「まだ14なのだから…